中学時代の3年間、私は野球部に所属し、毎日休みなく、練習に励んだ。
我が家は、家が貧しかったので、使っていたグローブやスパイクは、決して良い物では無かった。
しかし、母が汗水流して買ってくれた貴重な物だったので、大切に使っていたことを鮮明に思い出す。
当然ながら、親には感謝の気持ちしかない。
高校に入学すると、野球以外のスポーツをやりたいと思い、中学時代の友人と一緒に「軟式テニス」を始めることにした。
しかし、ここでも親に負担をかけたくなかったので、3,900円のノン・ブランドのテニスラケットと、バーゲン品だったシューズを購入した(このシューズが、何とバトミントン・シューズであることが、後に発覚する)。
新たな気持ちで数週間、練習に励んだ。最初は当然、新人なので球拾いが中心。
5月のGWを過ぎると、監督(高校教師)から、1年生もラリーに参加して良いとの許可が出たので、私も喜んで新しいラケットでボールを打ち込んだ。
しかしである。監督から突然呼ばれ、こう言われたのである。
「何だ、この安っぽいラケットは! もっと良いモノを親に買ってもらいなさい!」
この一言を言われて、私は泣いた。監督には気づかれないように・・・。
あの日の悔しさは、今でも鮮明に覚えている。
翌日には、理由も告げることなく、監督に「退部届」を提出した。
そんな経験があったからだろうか?
私はパソコンやケーブルなど、道具を大切に扱うようになった(改めて当時の監督には感謝したい)。
自分の道具だけではなく、時にはオンプレミスのサーバーに対しても、「いつも安定して動いてくれてありがとう!」とナデナデすることもある(お恥ずかしいが)。
すべてクラウドに移行してしまうと、これも出来なくなってしまう。
イチローは、決してバットを投げ捨てることはしなかった。
また、松井秀喜も怒りに任せてバットをへし折ることなど決してなかった。
プロは、自分の道具を大切にするものだ。
私は、まだまだその域には達していないが、今、使っている物理的な道具、毎日使っているソフトウェアに対して、愛着を持って使っていきたい。
もちろん、時代の移り変わりは激しいので、ハードもソフトも入れ替わる頻度も多くなっている。
しかし、その度に今までお世話になったモノへの感謝を忘れずにし、新しい道具に対しても愛着を持って、丁寧に使わせてもらおうと思っている。