クラウドのリソースをジャスト・サイズで運用すれば、コストを抑えられるし、オンプレミスのファイルサーバー等でも、次のリプレースまで間に合う丁度よいディスクサイズ感であれば、何の問題もない。そういった仕事を「最適化」と呼ぶのだろう。
しかしながら、時には「大は小を兼ねる」方が良い場合もある。
例えば、Active DirectoryでOU(Organizational Unit)を切る場合に、組織別に細かな設定をたくさん作ってしまうと、組織変更などが発生した場合、OU間の移動が必要になってきてしまう。
そこで、A部門のみ必要な設定があったとしても、B部門やC部門に影響が無いものであれば、そのA部門用の設定を、全体の設定にしてしまうということができる。
そうすることで、AD管理者の負担は軽減されるだろう。
この方法であれば、コストはまったく発生しない。むしろ、管理コストが削減される。大は小を兼ねた事例だ。
さらに、物事の考え方についても同様に、目先の視野の狭い範囲でのみ考えてしまうと、実際に直面していない他の関連事項との関わりを見落としてしまいがちだ。
何度も書いている話ではあるが、「鳥瞰・俯瞰」の目で見ることが大切である。
「大」の視点で全体思考し、「小」を捉える。「大は小を兼ねる」というよりも、「大で小を捕らえる」。少々、強引か。
しかし、忘れてならない考え方がある。
「80対20の法則」、つまり「パレートの法則」と呼ばれるものだ。
日本製のテレビのリモコンのように、いったいあれほどの機能(ボタン)は誰のためにあるのだろうか? ほとんど使われることの無い機能は、時には密結合になり、多くのバグを引き起こしてしまう。必要な事象に、パワーを注ぐべきである。そんな「大」機能は不要だ。
また、新規設備や新サービスを利用する際など、過剰なスペックや追加オプションを付帯しがちだ。
大は小を兼ねるとはいえ、使われることの無いリソースや機能にコストを払うほど無駄なことは無い。
結局、大切なことは、何事も「最適化」を目指すことである。
時には、「大は小を兼ねる」という考え方も頭の片隅に置きながら、より良い未来をとことん想像し、新しい世界を構築していきたい。
予測しにくい先の未来ではあるが、可能な限り「最適化」に挑戦していきたい。