「重荷が人をつくる。身軽足軽では人は出来ぬ」という徳川家康の名言を知ったのは、今から数年前のこと。
確かに新しい役割を受けたことで、スキルがアップしたり、新しい道が開かれたりもした。ドラクエで置き換えれば、自分のレベルに合ったモンスターとだけ闘うのではなく、自分より強いモンスターと対戦することで、予想以上のレベルになることが可能ということだ。
まずは、「重荷」について考えてみたい。
今、自分自身にはどんな重荷があるだろうか。
重荷と書くと響きが悪いが、「責任」という言葉に置き換えれば、容易に想像することができるだろうか。
自分の親から見れば「息子」という責任、息子から見れば「父親」という責任、妻から見れば「亭主」という責任、仕事では部門のマネージャーだったり、それぞれの仕事のリーダー、管理者としての責任などなど。個々で複数の重荷(責任・役割)があるはずだ。
その上で、人は人ではあるのだが、あえて隣人の重荷を想像してみよう。
「社長」の重荷、「総理大臣」の重荷、「大統領」の重荷、「外科医」の重荷、「学校教師」の重荷など、少し想像しただけで、いかに自分の重荷の軽さに気付いたのではないだろうか。
身軽な足軽を卒業するためには、積極的に新しい役割を引き受けていきたい。
言い換えれば、誰かに何かを頼まれたのなら、迷わず引き受けよ、ということだ。
「頼まれごとは、試されごと」である。自分にできないことを頼まれることは絶対にないのだから。
さらに、相手の重荷を知ったのならば、時には自分の肩を貸して、相手の重荷を一緒に抱えて歩むのもいい。
自分中心で物事を考えるのではなく、常に相手本位で行動できれば、結果、自分の徳が高まっていくことであろう。例えるならば、優しさポイント・カードのポイントがどんどん溜まっていく感じだ。
その結果として、自分の重荷が増えていくのではないだろうか。重荷効果で、人としてのレベルを上げていくしかないのだ。
「人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」
こちらも、徳川家康の名言である。急いてはろくなことがない。焦らず、迷わず、昨日の自分を少しでも超えければ、これ以上の喜びはない。